【短編】弟はキューピッド!?
「決勝のとき、実樹が叫んでくれただろ。俺を見てるって。絶対勝てって。
俺、めっちゃ嬉しかった。足の痛みとか吹き飛んだ。
あの言葉があったから俺、頑張れたんだと思う。勝てたんだと思う。
だから、ありがとう。それと…」
勇太は一旦口をつぐむと
ぎゅっ、とわたしを抱きしめてそっとつぶやいた。
「好きになってくれて、ありがとう」
わたしもそっと勇太を抱きしめてつぶやいた。
「こちらこそありがとう。勇太、大好き」
勇太の腕の中で、想う。
真っ直ぐになれてよかった―――