愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】

近くに居た娘に理由を聞くと、どうも付き合っていた大学生にフラれたらしいとの事。


「エッチしたとたんバイバイされたみたいよ。遊ばれたんだよ」


その娘はいい気味だと言わんばかりに、冷ややかな視線を麗子に向ける。


ザワつく教室の様子に気付いたのか、突然麗子が席を立ち廊下へと駆け出した。慌てて彼女の後を追うと、窓際のサッシにもたれ掛り泣き続けてる麗子を見つけ胸が痛くなる。


彼女には嫌なこと一杯されたけど、あんな風に泣いてる姿を見ると可哀想で放っておけなかった。


「麗子…大丈夫?」


体をビクッと震わせた麗子が少し顔を上げ、私をマジマジと見つめる。


その眼は驚きのせいか大きく見開かれ『なんでアンタなの?』と言われてる様な気がした。


「これ…」


それでも私は迷う事なく自分のハンカチを彼女に差し出していた。


「…いらない」

「気にしないで。使ってよ…」


暫くの間、麗子は私の真意を探る様にジッとこちら見つめていたが、意外にも素直に私の手からハンカチを受け取り涙を拭った。


「どうして?なんで私に優しくするの?真央は私の事嫌いでしょ?」

「そんな事…ないよ」

「ウソ!真央には、あんな酷い事したんだよ?どうせ男にヤリ逃げされた私の事、心の中では笑ってるんでしょ…」


寂しげに眼を伏せる麗子の姿が痛々しくて、同じ経験をした者同士、私は同情せずにはいられなかった。


「うぅん…。私も大好きだった人にフラれたから…麗子の気持ち少しは分かるし…」

「フラれた…?真央が?…誰に?」

「誰って…和弥だよ。私、初めてだったんだ。初めてエッチした後すぐフラれた。私を抱いた事、後悔してるって言われて…バカみたいでしょ?」


それを聞いた麗子は泣き腫らした眼を擦りながら難しい顔をする。


そして窓の外に視線を移し何かを考えているようだった。


< 101 / 362 >

この作品をシェア

pagetop