愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】

『真央…ごめん。私、勘違いしてたみたい…なんでもなかったんだよ。ホント、ごめん…』

「えっ…どういう事?もしかして、俊に何か言われた?」


明らかにに嘘をついてる麗子に私は必死に訴える。


「俊には絶対黙ってるから!麗子に聞いた事は、秘密にするから…」


でも、私のその思いは届かなかった。


『ごめん…真央』


携帯が切れた…


崩れる様にその場に座り込み、近くにあったクッションを壁に投げつける。


俊だ…。間違いない。俊が麗子に口止めしたんだ…


やり切れない思いと、俊に対する怒りが入り混じり、悔し涙が頬を伝う。


すると、忘れようとしていた和弥の顔が浮かび、私は我慢出来ず、あのタオルをクローゼットから引っ張り出して夢中で抱き締めていた。


和弥…どうして居なくなっちゃったの?私を一人置いて、どこに行っちゃったの?


久しぶりに泣いた。泣きじゃくった。泣いて泣いて、息が出来なくなるほど泣いたんだ。そして、もう一度、和弥に会いたい。そう思った。


会いたいよ…和弥… 和弥…


かず…や…





――― ここは……



いつの間にか、私は和弥が住んでた家の前に居た…


もう誰も住んでいないはずの家の窓から暖かな明かりが零れてる。新しい人が住み始めたのかと思い何気なく表札を見た私は愕然とし、何度もその表札の文字を確認する。


そこには…"桜井"の名前が…


どうして?


焦る気持ちを抑え、震える指でチャイムを鳴らすと、開け放たれた扉の向こうに立っていたのは…


もう、会うことも話すこともないと思っていた人…


和弥―――…が…

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