愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
うそ……
「よう!!真央、何してんだ。入れよ」
「和弥…帰って来たの?」
堪らず和弥の元に駆け寄り、涙で霞む彼の顔を見上げた。
「はぁ?何言ってんだ?俺はずーっと、ここに居るだろ?」
「そんな…何にも言わずに居なくなっちゃったじゃない」
私の言葉に不思議そうに首を傾げる和弥。
「変な事言う奴だな。とにかく入れって」
和弥は私の手を引いて階段を上がり部屋のドアを開ける。
でも、そこは…
「えっ…ここ、和弥の部屋じゃない…」
ドアの向こうは、殺風景な和弥の部屋ではなく、物が溢れた騒がしい俊の部屋。そして、見慣れたソファーに座っていたのは…
「しゅ…ん」
私は俊に駆け寄り和弥の事を伝えようと必死になる。
「和弥が…和弥が帰って来たの。俊、和弥が…」
「…それがどうした?」
俊は表情一つ変えず、吐き捨てる様に言う。
「和弥が帰って来たからって、なんなんだよ?真央には関係無い事だろ?お前は、俺の女なんだから」
「…………!!」
そんな…違う…違う…私が好きなのは…
「和弥…和弥?どこ?」
――― 頬が、冷たい…
重い体を起こすと、体中にジットリと気持ちの悪い汗が纏わり付いている。
夢…だったの?
まだ心臓がドキドキしてる。
たとえ夢でも和弥に会えた事…あの笑顔を見れた事が嬉しかった。
でも、俊が…私は俊の事が好きだったはずなのに…あんなに沙紀に取られる事を恐れていたのに…
揺れ動く気持ちに戸惑いながら、私は身動き一つ出来なかった。