愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
「真央、こっち向けよ」
俊の部屋で、いつもの様に彼に抱かれた後、タバコを銜えた俊が私に携帯を向ける。
「ダメ!!今、絶対変な顔してるもん」
「そんなことねぇよ。ほら!笑えって!」
最近の俊は、やたらと私の写メを撮りたがる。
「どうしたの?写メばっか撮って…」
俊は手に持っていたタバコを灰皿に置くと、その手で私の体を抱き寄せ「真央が可愛いから…」と優しい口調で呟きソッと私にキスをする。
俊…少し前の私だったら嬉しくて、なんの迷いもなく俊に抱きついていたと思う。なのに、今は…心の中で渦巻く様々な想いが交錯して、素直に喜ぶ事が出来ない。
口には出さなかったけど、私はまだ心の中で麗子の一件にこだわっていた。けど、俊はまるで何もなかったかの様にいつもの優しい俊に戻っていて、私達の間にはかなりの温度差があったんだ。
あれから何度も俊に話しを聞こうと思ったけど、あの恐ろしい俊の顔を思い出すと怖くて聞けなかった。
カシャ…
えっ…?
「俊、今のキス撮ったの?」
「おぉ~!バッチリ!綺麗に撮れてるぞ。ほら!」
携帯の画面を私に見せ嬉しそうに笑う俊。
「よし!!これ待受にしよっ」
「ヤダ…やめてよ…」
恥ずかしがる私を横目に、無邪気な顔をして携帯を操作する俊の指が弾んでる。
でも、私は心の底から笑えない。
このままで、いいんだろうか…