愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
「真央…こんなとこで何してる?」
「…しゅ…ん」
そうだった…俊は引っ越す前、この近くに住んでいたんだ。だから中学の時の友人は、この辺りの人なんだ…
立ち止まった俊は私の方を真っ直ぐ見つめ至って冷静に聞いてくる。
「和弥の家の前で何してんだ…答えろよ」
「何って…別に、何も…」
俊の視線が痛い。
「おい、俊、行こうぜ。濡れちまうよ…」
一緒に居た男子が俊に話し掛けてるけど、その声は俊には届いてない。痺れを切らした友人の一人が俊の肩に手を乗せると、俊はそれを振りほどき私のブレザーの襟を両手で強く掴む。
「何やってんだよ?和弥の事なんか考えてんじゃねぇよ!お前は、俺の女だろ?」
耳を劈く様な怒鳴り声が静かな路地に響き渡る。
あの夢と一緒だ…
「ご…めん。俊…」
震える声で謝る私に、俊の視線がまるで鋭いナイフの様に突き刺さる。
「来い!!」
私の腕を引っ張り歩き出した俊を見て友人達が慌てて駆け寄って来た。
「おい!俊、どこ行くんだよ?」
「悪りィ。大事な用事が出来た。今日は帰る…」
俊は友人にそう言うと、私を睨み付けた。