愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】

「俊はね、今まで特定の女の子と付き合った事、多分、なかったと思うのよね…なのに真央ちゃんと付き合うって言い出して、正直驚いたわ。

真央ちゃんには悪いけど、どうせすぐ別れると思ってた。でも、真央ちゃんと付き合う様になって、俊は変わったのよ。学校も真面目に行く様になったし、表情も柔らかくなった…」


アイさんのその言葉に後ろめたさを感じ、ソッと視線を落とす。


「俊は愛情に飢えてるの…父親は居ないし、母親は若い男と同棲するってここを出て行って、一ヶ月に2、3回くらいしか顔を出さないし…きっと、寂しかったのよ」


そんな話し初めて聞いた。俊は自分の事、何も話してくれないから…


「母親がたまに帰って来て顔を合わせると文句ばっか言って機嫌悪そうにしてるけど、その日はなんの用も無いのに、ずっと店に居るのよね…なんだかんだ言って、母親と一緒に居たいのよ…あの子」


アイさんは私の隣に座りバーボンの入ったグラスをクイッっと飲み干すと、グラスに付いた口紅を指でなぞりながら大きなため息を付く。


「愛情を与えられずに育った俊は、自分の大切な人にどうやって愛情を表現していいか分からなかったんだと思う。でも真央ちゃんには、一生懸命その気持ちを伝えようとしてるでしょ?」

「ええ…俊の気持ちは、十分私に伝わってます…十分過ぎるくらいに…」

「じゃあ、真央ちゃんはどうなのかな…?俊の事、本当に好き?」

「…私も、俊の事が好きです…」


すると少し間を置き、アイさんが真剣な眼をして言ったんだ。


「和ちゃんより…好き?」

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