愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
心臓を握りつぶされる様な鋭い痛みが胸に広がる…
黙り込む私を見たアイさんが再びため息を付き、全てを悟った様な顔をして言った。
「無理しないでいいのよ。俊だって、多分、真央ちゃんの気持ちは分かっているはずよ。それでもあの子は、真央ちゃんの事が好きなのよ…」
「アイさん…私…」
耐え切れず涙が頬を伝う。
「真央ちゃんは、どうしたいの?」
アイさんの優しそうな眼に見つめられ私の警戒心は薄れていく。そして、思ったんだ。
アイさんなら、私の捜し求めている答えを知っているかもしれないと…だから、縋る思いで本音を口にしていた。
「私、進学しようと思ってるんです。でも、こんな気持ちじゃ勉強も手につかなくて…俊の事、嫌いじゃないし、好き…だけど…やっぱり私…和弥が…」
「そうなの…」
「すみません。私、俊に酷い事してるって分かってます。分かってても、どうしても和弥の事が忘れられなくて…」
「バカね。謝る事なんかないのよ。男と女は色々あるわ。
私は俊が可愛いし、あの子には幸せになって欲しいって思ってる。けど、俊が幸せになるには、一方通行の愛じゃダメなのよ。相手にも同じくらい愛されなくっちゃ…
このままじゃ、2人共不幸になる。真央ちゃんには落ち着いて俊の事考えて欲しいの。その為にも、少し距離を置いた方がいいかもね。
そうね…受験勉強するから暫く会えないって俊に言ってみたら?その間に、これからどうするか考えてみる?」
「でも…」
そう言い掛けた時、店の扉が開き俊が帰ってきた。
私の泣き顔を見た俊は少し驚いた顔をしたが、すぐに真顔になり「真央が店に居るなんて珍しいな…」と言って私の横に座る。
「俊…真央ちゃん受験するそうじゃない。勉強の邪魔しちゃダメよ」
アイさんがさり気なく話しを切り出してくれた。
「受験?…そうなのか?」
俊がどんな反応をするか不安だったけど、私が控えめに「…うん」と頷くと、彼はニッコリ笑い意外な言葉を口にしたんだ。