愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
「俺にしがみついてワンワン泣きやがって『どこにも行かないでくれ』って…『一人にしないでくれ』って…ふざけるなって感じだよな…」
「そんな事ない。そんな事ないよ…俊」
「すまない…真央、俺、お前と一緒に行けねぇよ。アイツを一人置いて、行く訳にはいかねぇ…」
怒りをどこにぶつけていいのか分からない顔をした俊がソファーに拳を叩き付ける。
「俊は優しいね…」
「真央…」
本当に優しい人なんだ…俊は…
心の底からそう思い俊の震える指にソッと触れると、彼の表情がガラリと変わった。
「俺が真央と一緒に行かないって決めた理由は、それだけじゃない…」
「えっ…?」
「真央、お前はまだ…和弥の事、好きなんだろ?」
やっぱり俊は気付いていたんだ…
「俺は、ずーっと和弥には勝てなかった。勉強も、サッカーも…何もかもアイツには敵わなかった。けど、真央を彼女にできた時、俺は初めて和弥に勝った気がした…
でもあの時…雨の中で真央が和弥の家を眺めている姿を見た…あの日…俺を抱けって言ったあの時だ。
俺は、また和弥に負けた…」
「…どういう事?」
「真央が俺の上でイッて、倒れる寸前なんて言ったか…覚えてるか?」
「私が…言った言葉?」
倒れる前…私、何言ったんだろう…?全然覚えてない。
不安げな私の表情を見た俊は苦笑いを浮かべ、窓の外にソッと眼をやり小さい声で呟く。
「やっぱ、覚えてないか…でも、あれが真央の本心なんだよな…」
俊のその言葉に益々不安になる。
「俊?私、なんて言ったの?」