愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】

「真央が言った言葉は…」


俊の瞳が揺れている…まさか、泣いてるの?俊…


「『和弥…好き』だった…」

「うそ…」


私はなんて女なんだろう。そんな事、口走っていたなんて…


「結局、俺は和弥には何一つ勝てなかったって事だよ…」

「…ごめん。俊」

「ったく…他の男の名前呼びながらイクなんて、残酷な女だな…真央は」


俊はそう言いながら冷めてしまったコーヒーを一気に喉に流し込むと、呆れた顔で微かに笑った。


「本当にごめん。私、そんな事言うなんて…」


俊を傷付けてしまったという罪の意識はハンパなかった。でも俊は、そんな私の手を優しく握り首を振った。


「気にするな。初めから分かっていた事だ。それでもいいと思って付き合ったんだ…もうそろそろ真央を自由にしてやらねぇとな」

「しゅ…ん」


俊を裏切り続けたこんな私の事、許してくれるの?


しっかり握られた俊の手の甲に、私の涙がポロポロ零れ落ちる。


「ごめんね…ごめんね…」


謝ることしか出来なかった。


「今日で俺達の関係は終わりだ。今まで、ありがとな…真央」

「うぅ…っ、俊…」


お礼を言わなきゃいけないのは私の方なのに…和弥にフラれ一番辛い時に俊が側に居てくれたから私は救われたんだ。俊が居なかったら今頃、私はどうなっていただろう…


俊は全てにおいて私の恩人。なのに…私は、俊に何もしてあげれなかった。それどころか彼を裏切り傷付け悲しませてしまった。


自分の愚かさと俊への謝罪の念で溢れる涙を止める事が出来ず、私は泣き続けていた…

< 122 / 362 >

この作品をシェア

pagetop