愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
――― 卒業式 当日―――
冷えびえとする体育館で卒業生一人一人の名が呼ばれ、高校生最後の日は、終わりを迎えようとしていた…
私はこの三年間で、どのくらい成長出来たんだろう。
周りからはすすり泣く声が聞こえてきて、私も目頭が熱くなる。
厳粛な式が終わると教室に戻り、先生の叱咤激励の後、別れを惜しむ友達と撮影会が始まった。
そんな中、麗子が何か言いたげな表情でこちらをジッと見てるのに気付き、私は麗子に駆け寄り笑顔で手を差し出した。
「麗子…お別れだね」
「真央…あの…」
そう言い掛けた麗子の手を両手でしっかり握り「元気でね」と目一杯、明るく笑ってみせた。
「ま…お…」
顔をクシャクシャにして泣き出す麗子の体をそっと抱き締め、嘘偽りのない素直な気持ちを口にする。
「和弥の事がなかったら、私達いい友達になれたかもね…」
そう…同じ人を好きなったんだもの。私と麗子は似てるのかもしれない。彼女とは色々あったけど、今となればそれも思い出の一つだ。
一段と大きくなる麗子の泣き声。彼女の背中を擦りながらふと顔を上げると、窓際で外をぼんやり眺めている俊の姿が見えた。
私はもう一度、麗子に別れを告げ、さり気なく俊の隣に立った。すると柔らかい表情をした俊が静かに私の名を呼ぶ。
「真央か…」
「…うん」
2人並んで窓の外を見つめ視線を合わせる事なく会話は続く。
「俊、仕事はどうするの?」
「暫くはスナック手伝うことにした」
「そうなんだ…」
私達は、どちらからともなく指を絡めていた…