愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
彼の名前は後藤翔太(ごとう しょうた)さん
22歳の大学生
彼の笑顔が和弥のあの笑顔と重なり懐かしさで泣きそうになる。そして、勧められるまま飲み続けたお酒のせいだろうか…和弥に似た彼が私の眼の前に現れた事が偶然だとは思えなくなっていた。
じゃあ…これは、運命?
冷静さを失った私の妄想はどんどん大きくなっていく。
2時間があっという間に過ぎ去り「次は、カラオケね」と言う声に席を立つと、美奈子が私に擦り寄って来て耳元で囁いた。
「真央、後藤君といい感じじゃない。なんなら2人別行動でもいいよ!」
「ヤダ!そんなんじゃないってば…」
否定したものの私の顔は熱く上気していた。
すると後ろから「真央ちゃん、俺、別行動がいいなぁ~」と言う後藤さんの声に胸が弾む。
「ご、後藤さん…」
私を見つめる和弥に似た澄んだ瞳に見惚れてしまう。
「いいよ。行っておいでよ!!」
美奈子は嬉しそうにそう言って他のメンバー達と店を出て行った。
こんなにドキドキするのは、いつ以来だろう…
「どこ行く?」
「どこでも…いいですけど…」
「どこでもいいの?じゃあ、俺に任せてくれる?」
「はい…」
店を出て後藤さんに肩にを抱かれゆっくり歩き出すと、私の意識は和弥と付き合っていた高校時代に戻っていく。
和弥と過ごしたあの頃に…
「真央ちゃんさぁ、ずっと俺の顔見てたよね。そんなに俺が気になる?」
ドキッとして言い訳を考えるが、言葉が出てこない…
「俺、真央ちゃんの事、好きになりそうなんだけど…」
素直に嬉しかった。酔っぱらい冷静な判断が出来なくなっていた私の中では、後藤さんは既に和弥だったから…