愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
ジーパンの後ろのポケットに入れてあったから、脱がされた時に落ちたんだ…
「嘘でしょう…じゃあ、真央の携帯は後藤さんが…?」
美奈子と顔を見合わせため息を付く。後藤さんとは、もう二度と会いたくないと思ってたのに…
一応、確認の為、美奈子の携帯から私の携帯に掛けてみると、案の定、後藤さんが出た。
やっぱり彼が私の携帯を持ってたんだ。もう最悪…どうして、こうなるの…
美奈子は機転を利かせ、何も知らないフリをして会話を続けてる。
「あれ…真央は?もう帰ったの?それじゃあ私、明日その携帯取りに行くから…」
けど、そう言った美奈子の顔が困惑の表情に変わり、暫くの間押し問答が続いた。そして携帯を切った美奈子の顔がどんより暗くなる。
「真央、後藤さんったら、真央に直接返すって言い張ってるよ。明日、学校の校門の前で待ってるって…」
「え~…。もう会いたくないのに…」
「でも、2人っきりで会わないと返さないって…」
きっと、私があんな事言ったから怒って嫌がらせしてるんだ。
「真央の携帯ガラケーだし、もう解約しちゃってスマホにしたら?後藤君なんて放っとけばいいよ」」
美奈子は軽く言ってくれるけど、あの携帯には和弥とのメールのやり取りが残ってる…
唯一、和弥との思い出が形で残っているのは、あのタオルと携帯のメールだけ。
「私、後藤さんに会って携帯返してもらうよ…」
「真央…本気?なんか変な事されたらどうするの?」
「大丈夫。校門の前だったら人も多いし平気だよ…」
そう言って強がって笑ったものの、本当は嫌でしょうがなかった。
でも、どうしても返して欲しい…