愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
窓口業務に就いて一週間は、お客様の顔も見れないほど緊張した。
今更だけど、私、人見知りだったんだよね…忘れてた…
昼休みだけが唯一ホッと出来る時間。新人同士が集まって仕出し弁当を食べてると「隣、いいですか?」と声を掛けられた。
振り向くと同期入行の大塚雅人(おおつか まさと)さんがニッコリ笑ってお弁当を抱えてる。四大卒だから私より二つ年上だ。
「どうぞ…」
「お邪魔しまーす」
彼は同期の女の子の間では、ちょっとした人気者だ。大学時代はラグビーをやっていたそうで、いかにも体育会系って感じで厚い胸板スリムなウエスト。でも顔は爽やかなイヤミのない男前さん。
私の周りの女の子達がザワめき出し彼を質問攻めにするが、嫌な顔一つせず、どうでもいい様な質問にも誠実に答えてる。
「北沢さんは、あんまり喋らないんだね」
女の子達の質問に一通り答え解放された大塚さんが、黙々とお弁当を食べていた私に話し掛けてきた。
「あっ…うん、私は…」
オドオドしてる私を見て、彼はクスッと笑う。
「研修の時は、あまり話せなかったから…同じ店になれて嬉しいよ」
「へっ…?」
嬉しいって…なんで?