愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】

それからも新川さんは毎日、午前11時前後に銀行にやって来てはキャッシュコーナーは使わず窓口で五千円を下ろして行った。


でも、私のあの質問には答えてくれず、ただ優しい笑顔を残して帰って行く。


いったい、どんな意味があるんだろう…




そして週末。金曜日の夕方、仕事帰りに地下鉄に乗っていると久しぶりに大塚さんからメールがあり食事に誘われた。


メールには、月曜日の夜に会いたい。時間はまた電話すると…そしてメールの最後には『そろそろ返事を聞かせて欲しい』との文字。


そうだよね。いつまでもこのままじゃ大塚さんに申し訳ない。彼にはハッキリ付き合えないと言うべきだよね…


そう思いながら重い足取りで地下鉄を降り寮に向かって歩いていると、寮の近くまで来た所で玄関の横に誰か立っているのが見えた。街灯の光が届かない場所に立っているから男女の区別もつかない。


別段、気に留めることも無く足を進めていた私。でも、その人影が誰か分かった瞬間、恐怖で全身に鳥肌が立ち、血の気が引いていくのがハッキリ分かった。


薄ら笑いを浮かべたその人物が、動揺して動けなくなった私に近づいて来る。


「やぁ!真央ちゃん」


暗闇に浮かびあがった淀んだ瞳が私を凝視してる。


心臓が張り裂けそうなくらい高鳴り、息が苦しくなって足がガクガク震え出す。それはまるで、悪夢を見てる様な心境だった。


うそ…


なんで、彼がここに居るの…

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