愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
そう…それは、私が最も会いたくないと思っていた男
後藤翔太だった。
「久しぶりだね。また一段と綺麗になったんじゃない?」
「こんな所で、何…してる…の?」
「真央ちゃんに会いに来たんだよ。忘れられなくてさ…」
体が固まり動けない私の肩に手をまわすと、指に私の髪をクルクル巻きつけ耳元で囁く様に言ったんだ…
「よくも警察にチクッてくれたな…お陰で俺は内定貰ってた会社にその事がバレて就職出来なかったんだぞ」
憎しみ溢れたその眼は血走り、まるで獣の様…
「忘れてないだろ?お前をメチャクチャにしてやるって言った事…」
胃の辺りから逆流してくる不快なものに吐き気を感じる。
「やめ…て」
声にならない…
「あの時、あんなに感じてたじゃないか…また、いい思いさせてやるよ」
私の体を羽交い絞めにした後藤に道路から死角になる植え込みに引きづられそうになる。私は必死で抵抗し足をバタつかせ大声で叫んだ。
「いやぁーーっ!!」
その時…
「ちょっと!!何してるの?」
偶然帰って来た先輩の声に後藤の動きが止まり「チッ…」と舌打ちする音が聞こえた。すると次の瞬間、後藤が素早く私から離れ走り去って行く…
助かった…
「北沢さん?何があったの?大丈夫?」
駆け寄って来てくれた先輩にしがみ付き狂った様に泣いた。まだ震えが止まらない…
先輩は管理人さんに事情を説明してくれて、管理人さんも契約している警備会社に連絡し見回りを強化してくれるよう頼んでくれた。
取り合えず、マンションに居る間は安全だ…