愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
心配してくれた先輩が暫く部屋に居てくれたけど、先輩が自分の部屋へ戻り一人になると急に怖くなり、窓を揺らす風の音にさえ恐怖を感じた。
リリリリーン…リリリリーン…
携帯が鳴る音に体がビクリと反応する。恐る恐る携帯を手に取り誰からか確認すると、ディスプレイに表示されていた名前は"大塚さん"
私は急いでディスプレイの上で指を滑らせた。
「ううっ…お、大塚…さん」
私の異変に気付いた彼が『北沢さん?どうしたの?』と探る様な声で聞いてくる。
「助けて…大塚さ…ん…怖い…」
私が泣いていた事によほど驚いたのだろう。大塚さんが理由を聞かせてくれと電話の向こうで怒鳴ってる。
大塚さんに自分の恥を晒す事の恥ずかしさより、後藤に対する恐怖の方が勝てしまい私は以前、一度だけ関係を持った男にストーカーされてると打ち明け、さっきの事も話してしまった。
絶句した大塚さん。でもすぐ『許さなねぇ…』という低い声が聞こえてきた。
『絶対、そんな奴に好きにさせない。俺に任せてくれないか…』
「任せるって…」
『そいつの事は、俺がなんとかする。北沢さんは安心していいから』
「でも…何するか分かんないよ』
『大丈夫!学生時代からラグビーで鍛えてきたんだ…その辺のヤワな男には負けやしないよ。そいつの素性は分かっているんだろ?俺が話しをつけるから連絡先を教えてくれる?北沢さんは、俺が守るから…』
「大塚さん…」
彼のその力強い言葉に私の恐怖心は徐々に薄れていく…
「有難う…大塚さん」
この時、私の中で大塚さんの存在がどれだけ大きなモノだったのか…やっと気付いた。