愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】

「なんだ!今の音は?」


廊下から怒鳴り声が聞こえてくる。


お願い…誰でもいいから…助けて…


もう立ち上がる力さえ残っていない私はテーブルからバタリと畳の上に転げ落ち、入口の障子を祈る様な気持で見つめていた。


「なんでもないですから…」

「いいから、どけ!」

「ふざけてるだけですよ…」

「何がふざけてるだけだ!!あの音は普通じゃないだろ?それに、女性の叫び声もしたじゃないか!!」


障子の向こうでもみ合ってる様な音がする。


あぁ…もう、ダメ…早く…来て…顔を上げているのも辛い。意識が飛びそう…


ガラッ……


障子が凄い勢いで開き、一瞬、時間が止まったみたいに静まり返る。


「…これは…」


うつ伏せで倒れていた私は、再び声のした方向にほんの少し顔を上げた。眼が霞んでよく見えなかったけど、大塚さんとスーツ姿の男性2人の姿がぼんやりと見えた。


駆け寄って来てくれたのは、スーツ姿の男性。自分のスーツの上着を私の背中に掛け抱きあげてくれた。


「たす…けて…お願…い」


それ以上言葉にならず、グッタリしてる私をその男性は包み込む様に優しく抱き締めてくれてる。そして私を抱えたまま「お前ら、何やってるんだ!!」と怒りを露わにした。


そして男性は、ゆっくり私を畳に寝かせ立ち上がると、後藤の胸ぐらを掴み腕を振り上げる。次の瞬間、後藤の体がゴムマリみたいに畳の上を転っていくのが見え、やっと私は安堵した。


あぁ…助かったんだ…


でも、ホッとしたのもつかの間。もう眼を開けているのも限界で、私の意識は暗闇の中に吸い込まれていった…

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