愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】

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んっ…?


うつ伏せになった私の背中を、誰かが擦ってくれてる。


重い瞼を少し開けると、小窓の外に点滅する赤い光が見え、ここが救急車の中だという事は分かった。


騒がしい車内。私の横に座ってる男性が大声で何か叫んでる。


「まだ病院決まらないのか?」

「すみません…どこも受け入れ拒否で…」

「仕方ない…ちょっと遠いが、愛生会病院に連絡してくれ…」

「はぁ…でも、あそこはいつも断られてますし…」


どうも受け入れてくれる病院が見つからないみたいだ。


「一応、聞いてみます…」


でも、やはり断られてるみたいで、救急隊員の落胆した声が聞こえてくる。すると私の隣に居た男性が立ち上がり、救急隊員の肩を掴んで怒鳴り出した。


「救命の医局長を出せ!!新川龍司が、そっちに向かうと伝えろ!!」


新川…龍司…って…まさか、あの新川さん?


数秒後、救急隊員の「OK出ました!すぐ向かいます」と言う弾んだ声と共に、けたたましいサイレンの音が鳴り響く。


そして私はまた、吸い込まれる様に深い眠りに落ちていった…


次に目が覚めた時は、ベットの上。ここは…病院…だよね…


暫くするとカーテン越しに誰かが会話してる声が聞こえてきた。まだハッキリしない頭に手を当て耳を澄ましてみる。


「あの娘、お前の彼女か?」

「いや…」

「ふ~ん、てっきり彼女だと思ったぞ!あんなに取り乱した新川見るの初めてだったからな…」

「バカ、やめろよ…」


新川さんだ…そんなに親しくもない私の為に、病院まで着いてきてくれたんだ。


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