愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】

「んっ…眩しい…」


朝日がカーテンの隙間から帯になって私の顔に降り注いでいる…


時計を見ると8時過ぎ。昨夜とは全く違い頭もハッキリして気分もいい。でも背中の傷は、まだ疼いてる…


「…あ、そうだ…電話しなきゃ…」


私は携帯を手に取ると、まず寮の管理人さんに電話して、実家の母親が入院したので暫く寮には戻れないと伝えた。そして、次に電話をしたのは美奈子。昨日の事を話してなんでもいいから着替えを持って来て欲しいと頼んだ。


驚いた美奈子は、今日は会社を休んでここに来てくれると言う。悪いと思いながらも、久しぶりに美奈子に会えると思うと内心、凄く嬉しかった。


2時間後、美奈子が顔面蒼白で現れた。


「大丈夫だったの?電話もらった時は心臓が止まるかと思ったよ…」

「ごめんね…でももう、大丈夫だから…」


そう言って笑うと、美奈子も安心した様にニッコリ笑う。でもすぐに眼を輝かせ部屋を見渡しながら「ねぇ、新川さんって、いったい、どんな人?」って聞いてくる。


「さぁー…私も、よく分からなくて…」

「はあ?よく知らない人が、こんな部屋をポーンと貸してくれたの?ありえないでしょ!」


ホント…ありえないけど、ありえたんだよね…


正体を確かめようと言い出した美奈子は部屋を物色して、1枚の領収書を見つけてきた。


「真央、高岡商事って書いてあるよ!」


高岡商事と言えば、世間知らずの私でも知ってる。有名な大企業だ…


「私に任せて!!高岡商事の新川龍司、調べてみるよ」


証券会社に就職した美奈子は、企業の内部事情に詳しい。


< 161 / 362 >

この作品をシェア

pagetop