愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
「じゃあ、示談にして…いいの?」
新川さんの問い掛けに答えられず、俯き涙を堪える。
「すまない…君を苦しめるって分かってて聞いたんだ…大切な事だから…」
私は首を縦に振り「示談にして下さい」とお願いした。
「分かった。後の事は俺に任せてほしい。悪いようにはしない」
新川さんが私の頭を優しく撫でてくれてる…
「し、新川…さん」
そんな事されたら…
とうとう我慢出来ず涙がガラステーブルの上にポトリと零れ落ちた。
「北沢さん…」
「ごめんなさい…私…」
私の手にソッと触れる彼の温もり。
「冷たい手だ…」
温かい…新川さん手、凄く温かい…
暫くの間、新川さんは私の手を握ってくれていた。強くもなく…弱くもなく…包み込む様に…
まだ会ったはがかりで、彼の事よく知らないのに、私は新川さんに頼り切っていたんだ。彼と居れば大丈夫…なんて、勝手に思い込んでる。
暫くして私が落ち着くと、新川さんの手がゆっくり離れていく…それが無性に寂しくて、その手を追い掛けたいという衝動に駆られる。
「この話しは終わりだ。北沢さんを泣かせる話しは、もうしないから…ところで、傷の消毒した?」
さっきとは別人の様な明るい声。
私が首をプルプル振ると、少し困った顔をして「ダメだよ!一週間くらいは、ちゃんと消毒しないと」て、消毒液とガーゼを私の手に握らせニッコリ笑った。
「一人で出来る?出来なかったら、俺がしてあげるよ」