愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】

「じゃあ、示談にして…いいの?」


新川さんの問い掛けに答えられず、俯き涙を堪える。


「すまない…君を苦しめるって分かってて聞いたんだ…大切な事だから…」


私は首を縦に振り「示談にして下さい」とお願いした。


「分かった。後の事は俺に任せてほしい。悪いようにはしない」


新川さんが私の頭を優しく撫でてくれてる…


「し、新川…さん」


そんな事されたら…


とうとう我慢出来ず涙がガラステーブルの上にポトリと零れ落ちた。


「北沢さん…」

「ごめんなさい…私…」


私の手にソッと触れる彼の温もり。


「冷たい手だ…」


温かい…新川さん手、凄く温かい…


暫くの間、新川さんは私の手を握ってくれていた。強くもなく…弱くもなく…包み込む様に…


まだ会ったはがかりで、彼の事よく知らないのに、私は新川さんに頼り切っていたんだ。彼と居れば大丈夫…なんて、勝手に思い込んでる。


暫くして私が落ち着くと、新川さんの手がゆっくり離れていく…それが無性に寂しくて、その手を追い掛けたいという衝動に駆られる。


「この話しは終わりだ。北沢さんを泣かせる話しは、もうしないから…ところで、傷の消毒した?」


さっきとは別人の様な明るい声。


私が首をプルプル振ると、少し困った顔をして「ダメだよ!一週間くらいは、ちゃんと消毒しないと」て、消毒液とガーゼを私の手に握らせニッコリ笑った。


「一人で出来る?出来なかったら、俺がしてあげるよ」

< 165 / 362 >

この作品をシェア

pagetop