愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】

彼は今、どんな気持ちで私の背中の傷を消毒してるんだろう…


私は新川さんにあの姿を見られてる…悲惨なボロボロの姿を…


他の男に犯されそうになった女なんて、きっと嫌だろうな…そんな女の裸なんて見たくもないのかもしれない。汚らわしいとか思われているのかも…


だから電気を消したの?


絨毯に映る新川さんの影をジッと見つめ私は唇を噛んだ。


私なんて…


「終わったよ…」


彼の声と共にに微かな息が私の耳を掠めた…それだけで頬が火照る。そして、胸が苦しくなる。


私は、新川さんが好きなんだ…


大塚さんに優しくされても、私の体は彼を拒み続けていた。それは、あの優しさが偽りの優しさだったからかもしれない。それに比べ新川さんの優しさには本物だ。彼と居ると凄く安心出来るんだもの…


こんな気持ちになったのは、高校生の時以来。そう…和弥を好きになった時以来だ。でも私は、あなたを好きになってはイケナイんだよね…


あなたと私は釣り合わない。一流企業に勤める大人の新川さんと、男に弄ばれた子供の私…


分かってる。分かっているけど…


苦しいよ…新川さん…




それから新川さんは、毎日、私の傷を消毒してくれた。でも決して、私の肌に彼が触れる事はなかった。


なんだか虚しい…優しくされれば、されるほど…笑顔を向けられれば、向けられるほど…余計に悲しくなる。


何度もここを出て寮に戻ろうと思った。でも、マンションを出れば、もう新川さんと2人で過ごす事はないと思うと、それも出来なかったんだ…

< 167 / 362 >

この作品をシェア

pagetop