愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
「昨夜、遅くなった事、怒ってるのか?」
「…いえ」
新川さんは一つ大きなため息を付くと、自分の鞄から一通の封筒を取り出し、視線を合わせようとしない私に差し出した。
「昨日、後藤と大塚に会って示談にしてきた…」
「えっ…」
「勿論、弁護士も同席させて、今後一切、君に関わらないという念書を書かせた。大事なものだから、ちゃんと保管しておきなさい」
「新川さん…」
「その後、御礼を兼ねて弁護士を食事に誘ったら、君が運ばれた愛生会病院の医者から電話があって…アイツは高校の同級生なんだ。明日休みだから飲みに行こうって言われてな、君が世話になった2人だから、とことん付き合ってきた。
俺のおごりだって言ったら高級クラブばかりハシゴしやがって…全く…困った奴らだ」
お茶を飲みながら静かに笑う新川さん。
「それって…私の為に?」
どうしよう…私ったら、勝手に勘違いして新川さんを疑ってしまった。あの香水の匂いは、クラブの女性のモノだったんだ…
封筒を握り締めうな垂れる私に、彼は優しく微笑みかけてくれてる。
「仕事以外の時間は、全部君の為に使うって言っただろ…?」
「…ごめんなさい…私…」
「分かってくれればそれでいい」
やっぱり新川さんは大人だ。なのに私は…
帰りが遅かったくらいで怒って嫉妬して…ホント、情けない。そして何より、彼を信じてあげれなかった愚かさに後悔しきり。
きっと、新川さん呆れてるよね。もっと大人にならなきゃ…新川さんに似合う大人の女性にならなきゃ…