愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
それから3日後、私は銀行に復帰した。
大塚さんは一身上の都合で銀行を辞めた事になってたが、実際は解雇だったと新川さんが言っていた。どうやら私と大塚さんの事は誰にも知られる事なく店長が処理してくれたみたいで、お陰で変な噂もなく気持ち良く仕事が出来た。
―――そして…
早いもので、新川さんのマンションで同棲を始めて半年が過ぎようとしている。変わりなく私を愛してくれる彼と過ごす日々は、この上なく幸せで充実していた。
あ、そうそう。少しだけ変わった事があった。寝室のベットがセミダブルから特注のキングサイズになった事。
今のままで十分だと言う私に「もっと乱れた真央が見たい…」なんて、新川さんが勝手に注文してしまったんだ。
恥ずかしくて文句を言ってた私だけど、ホントは嬉しかったりして…
そして、もう一つ。私が彼を"新川さん"ではなく"龍司"と呼ぶ様になった事…
さすがに13歳も年上の人を呼び捨てにするのは少々抵抗があったが、何気に喜んでくれてるみたいだったので、そう呼ぶことにした。
龍司は仕事の事とか、自分の事をあまり話したがらなかったけど、最近はポツリポツリと少しずつ話してくれる様になり、先日は高岡商事との関係を教えてくれた。
彼は高岡商事の会長の孫で、社長は彼のお母さんの兄。社長には子供が居るが女ばかりで既に結婚し家を出てしまっていて会社を継ぐ者が居ない状態だったそうだ。
そこで、後継者として白羽の矢が立ったのが妹夫婦の次男だった龍司。大学を卒業すると、強制的に高岡商事に就職させられたらしい…
でも、周りから社長の親族だから優遇されていると思われるのが嫌で、本社勤務を望む社長に頼み込み地方の支社を転々として実績を上げ、誰にも文句を言わせず取締役に付いたそうだ…
そして、1年前に九州の支社からこの街の支社に来た。