愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
「桜井の事は、同い年だし桜井君でいいよな?真央」
「う、うん」
桜井君…懐かしい、その呼び名…
片思いだと思っていた頃、私はあなたをそう呼んでいた。
「真央さん…」
「は、はい」
和弥に名前を呼ばれ慌てて顔を上げると「真央さんも、飲んで下さい」そう言って私のグラスにビールを注ぎ笑顔を見せてくれた。
龍司はよほど楽しかったのだろう。いつもよりよく喋り、よく飲みいつの間にかソファーで寝てしまった。
私が寝室にタオルケットを取りに行き、龍司の世話をしてる間に、片付けを済ませた和弥がリビングから出て行こうとしてる。
あ…和弥…
「待って…」
私は和弥を追いかけ、玄関で靴を履いていた彼の腕を両手で強く掴んだ。
「待って…行かないで。和弥…」
大きなため息を付いた和弥が私をキッと睨み付け吐き捨てる様に言う。
「ったく…そう呼ぶなって言っただろ!」
私の腕を振りほどき、迷惑そうに眉を顰める。
「ごめん…でも、やっと会えたのに、こんなの嫌だ…」
今度は呆れ顔の和弥が小声で怒鳴った。
「俺にどうしろって言うんだ?お前は、部長の婚約者だろ?」