愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
「それは…」
返す言葉が見当たらない。
「今のお前は、俺の上司…新川部長の婚約者だ。俺達の関係が部長にバレて変に意識されたくないんだよ。今更、昔しの事をほじくり返さないでくれ!俺達はもう…他人なんだから…」
パタン…
無情に締まる玄関の扉
そうなんだ…和弥にとって、私との事は遠い昔の事…
振ったた女の事なんて思い出したくもないよね…私一人が意識して舞い上がってた。
もしかしたら、和弥も私の事を懐かしく想ってくれてるんじゃないか…なんて、期待して自惚れてた…和弥の中では、もう終わった事。私達は赤の他人なんだね。
冷たい和弥の態度に私の心は打ちのめされ、独りよがりだった自分の愚かさに落胆する。
それからも和弥は龍司に連れられ何度かマンションにやって来た。上司の龍司に言われれば断れないのだろう。文句一つ言わず美味しい料理を振舞ってくれる。
本当は、私の顔を見るのも嫌なのかもしれない。なのに、会えば普通に接してくれていた。そして、私にまで敬語で話す和弥を見るたび彼の気持ちが私には向いていないのだと思い知らされる。
もう和弥は吹っ切れてるんだ。私を上司の婚約者としか見ていない。
和弥を他人として見れない諦めの悪い自分が情けなくて泣けてくる。
もう、どうにもならないのに…