愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】

「…酷い」

「んっ?」

「桜井君…酷いよ」


真顔で訴える私を驚いた顔で見つめる桜井君。


「皆、桜井君のことが好きで、一生懸命、心を込めてチョコ作って…勇気出して渡したんだよ。
私だって、そうだったんだから…
なのに、そのチョコを人にあげるなんて…酷いよ」

「北沢…」


黙り込む彼の顔が険しくなり、その顔を見た私は我に返りハッとする。


私ったら、偉そうに桜井君に意見しちゃった…


つい興奮して余計な事を口走ってしまったと猛烈に後悔した。


もしかして…嫌われた?
どうしよう…謝った方がいいのかな?


重苦しい空気が漂う中、さっきのおばちゃんが湯気が立ち上る湯呑を2つ持ち私達の前に現れたと思ったら、桜井君の肩をツンツン突っつきながら言う。


「和弥君、どうしたのよ?いつもは店の中で食べるのに、こんな寒いとこで…風邪引くよ」

「…いいんだよ」


熱いお茶をすすりながら桜井君がボソッと言うと、おばちゃんは桜井君の耳元に口を近づけナイショ話しを始めた。
だがしかし、ソレは残念ながら私にまる聞こえなワケで…


「もしかして…ワケありかい?私に話しを聞かれたくないからとか?
大丈夫だよ~前に一緒に来た色っぽい娘には秘密にしといてあげるからさぁ~」


前に一緒に来た…色っぽい娘?


「うっせーなぁ~。もう、おばちゃんはあっち行っててくれよ…」


眉間にシワを寄せ無愛想な態度を取る桜井君を、私は複雑な思いで見つめていた。


桜井君…もしかして、彼女…居るの?

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