愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】

私と居る時には見せた事のない本当に楽しそうな弾ける様な和弥の笑顔…心の底からフツフツと湧き上がってくる嫉妬という感情。


和弥は、その人と居ると楽しいの?


チリチリ痛む胸が苦しくて、堪らず和弥から目を逸らす。


「桜井、今日はもういいよ。真央を乗せて帰ってくれ。三浦君も遅くまですまなかった」

「はい」

「あ…あの、私、タクシーで帰ります」


和弥に送ってもらいたくなかった。こんな幸せそうな和弥の顔を見てしまったら…辛すぎる。私と居る時の和弥は、いつも苦しそうな暗い表情をしてるもの。


「何言ってるんだよ。一緒のマンションに行くのに、どうして別々に帰る必要があるんだ?その為に桜井を待たせておいたのに…乗せてもらいなさい」


確かに龍司の言ってる事は正論だ。矛盾してるのは私の方。


仕方なく頷き3人で部屋を出てエレベーターに向かった。


私に背を向けて立つ三浦さんの後姿…背筋をピンと伸ばし、時折、髪をかき上げる姿が色っぽくて、いかにも仕事が出来る大人の女性って感じがする。女の私でも見惚れてしまうほど綺麗な人だ。


到着したエレベーターの扉が開くと、すぐさまソレを手で押さえ「どうぞ」と微笑む。


「…すみません」


一階のボタンを押す姿さえ惚れ惚れするほど美しくて、全く隙のない身のこなし。


和弥はこんな女性と付き合ってるんだ…

< 253 / 362 >

この作品をシェア

pagetop