愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
彼女の笑いがピタリと止まった。
「付き合ってるんですよね?」
平静を装い笑顔でそう聞く私に、三浦さんは落ち着いた口調で言う。
「そんな風に見えたのなら、そうなのかも知れませんね…」
まるで他人事の様な言い方。そして意味深な微笑み。
この人、私の事バカにしてるの…?
「…あの、やっばり私、タクシーで帰ります。桜井君にそう伝えて下さい」
「えっ?」
彼女の止める声を無視し、小走りで車道に向かった。頭の中では、さっきの和弥の笑顔がチラつき、打ち消しても打ち消しても浮かんでくる…
私が居なかったら2人でデートできるよね…あんなに楽しそう笑ってたんだもの…和弥だって、私と居るより楽しいよね…
龍司を裏切る事が出来ない和弥を、私は苦しめてるだけの女だから…
虚しい…
タクシーでマンションに帰り、何をするでもなくソファーに体を沈めぼんやりしていた。
和弥に抱かれ嬉しかったけど、本当にこれで良かったのかな?あの人と付き合っていれば和弥は余計な事で悩まず幸せになれるかもしれない。
それに龍司との結婚話しも私の意に反してどんどん進んでる…
私は、どうしたらいいの?
出口の見えない漆黒の闇の中、四面楚歌状態。堪らずソファーに顔を埋める。
その時、玄関のチャイムが凄い勢いで連打された。
「えっ?何?」