愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】

「そうだ!今度の日曜にドライブがてら見に行こう」


嬉しそうに笑う龍司の顔を見てると、自分の犯してる罪の深さを感じ、このままではいけないと思ってしまう。


こんな気持ちのままで龍司と結婚なんて出来ない。もう龍司を騙し続けるのは限界だ。


全てを話そう。私の本当の気持ちを…龍司なら、本当の事を正直に話せば分かってくれるかもしれない。


私は微かな期待を抱き、意を決して顔を上げた。そして、決意が声となって出掛った…その時…私が龍司の名前を呼ぶ前に、彼が明るい声を上げたんだ。


「ちょっと待ってろ。今、代わるからな!」


龍司が私に手渡してきたのは携帯。


「誰?」

「真央の小さなファンだよ」


不思議に思いながら携帯を耳に当てると…


『お姉ちゃん?莉子だよ!』

「莉子ちゃん?」

『うん。あのね、ママがね、泣かなくなったんだよ!おばあちゃん優しくなったの!!莉子にも女の子は可愛いって言ってくれたんだよ!』


興奮気味に話す莉子ちゃんの声を聞いただけで、私は泣きそうになった。


「良かったね…莉子ちゃん」

『ねぇ、お姉ちゃん、今度は、いつ来てくれるの?ママも待ってるんだよ』


言葉が出ない…


無邪気な莉子ちゃんと話していると、自分がどんなに罪深く穢れた人間なんだろうと思ってしまう。


「近いうちに行くからね…」

『うん!待ってるよ!絶対に来てね!』


私の決意は大きく揺れ、風船がしぼむ様に小さくなっていく…


言えない…龍司に和弥の事は言えない…莉子ちゃんを裏切る事も出来ない…


そして…
その夜、私は龍司に抱かれた。和弥のモノだと誓った体を龍司に委ねた…



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