愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
大きな鉄柵の門を入り真っ白な建物の玄関に向かう。
※「この式場がオープンした時、なんでも有名なデザイナーのファッションショーが行われて、そのショーに出てたモデルが本物の結婚式を挙げたそうだよ。それが素晴らしかったと話題になって、なかなか予約が取れない人気の式場なんだ」
「…そうなの」
「それと、ここは18世紀のフランスをイメージして造られた式場なんだ。ガーデンも似せて造ってある。ガーデンウエディングってのもいいな」
開けた素敵なガーデンを眺めても、私のテンションは全く上がらない…
建物の中に入ると、支配人の香山(かやま)と名乗る男性が式場を案内してくれた。
壁全面、四方が硝子張りの待合室。暖かな日差しが硝子を通り抜け私達に降り注いでいる。それがとても心地良くて、ほんの少しだけ穏やかな気持ちになれた。
「新川様は特別なお客様ですので、私どもも精一杯お手伝いさせて頂きます」
「チャペルが改装中で見れなかったのが残念だな…真央に見せてやりたかったのに…」
すると支配人が姿勢を正しニッコリ笑いながら言う。
「申し訳ございません…6月に入る前に終わらせる予定ですので、是非、またお越し下さい。それと…御式の御予約の方は、今日されますか?」
胸をえぐられる様な鋭い痛みを感じ、私は激しく動揺した。
「…チャペルを見てからじゃ…ダメ?」
今の私に出来る抵抗はこのくらい。この場で予約するのだけはイヤだった。
「あぁ、それは構わないよ」
龍司の優しい笑顔がより一層、私を辛くさせた…
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※この結婚式場は『涙と、残り香を抱きしめて…』で主人公が結婚式を挙げたのと同じ場所という設定です。ちょこっとコラボしてみました。