愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】

――――6月
鬱陶しい梅雨の季節
今日も一日、激しい雨が降り続いている。


昨夜マンションに泊まった龍司に、私はまた抱かれた。


抱かれながら私は和弥の顔を思い浮かべ和弥に抱かれているんだと自分に言い聞かせていた…


自分の気持ちを偽り龍司に抱かれるたび、龍司にも和弥にも申し訳なくて自分を責め続ける日々。




今日は龍司は来ない…朝から東京の本社に出張で一泊してくると言っていた。私は和弥からの『今から行く』と一言だけの素っ気無いメールを、もう20分近く眺めている。


和弥は私が龍司に抱かれる事を決して責めはしない。でも、抱かれた次の日は私を抱こうとはしなかった。


ただキスをして、抱き締めてくれるだけ…


口では気にしてないって言ってるけど、やっぱり他の男に抱かれた体は抱きたくないんだと思う。だから…きっと…今日、和弥は私を抱かない…


それにしても遅いな…もうとっくに来てもいいはずなのに…


心配になり和弥の携帯に掛けてみるが出ない。


それから30分。チャイムの音に慌てて玄関の扉を開けると、そこには全身ずぶ濡れの和弥が立っていた。


「どうしたの?」


驚いて駆け寄る私をバツが悪そうに苦笑いを浮かべ見つめる和弥。


「いったい、何があったの?」

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