愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
足音が近づいてきて、リビングのドアの前で止まった。
うそ…うそ…こんなのあり得ない。
カチャ……
リビングのドアが静かに開く…
「龍司…」
龍司は私をチラッと見たが、すぐに和弥に視線を向けた。
「桜井…お前、こんな時間に何してる…」
和弥はスクッと立ち上がり「すみません」と言って頭を下げたが、彼の眼は力強く真っすぐ龍司を見据えている。
まさか…和弥…言うつもりじゃあ…
「部長…実は…」
和弥を守らなきゃいけないと思った。なんとしても、和弥を…だから私は和弥の言葉を遮り、捲し立てる様に喋った。
「あのね、龍司、私がコンビニ行こうとしてマンションの玄関出たら桜井君が丁度帰ってきて、それがずぶ濡れで…話しを聞いたらタイヤがパンクして修理してたって…だから、風邪引いたらいけないと思ってここでシャワー浴びてもらったの。そしたらお礼にご飯作ってくれて今、食べてたとこ…」
バレバレの言い訳だったのかもしれない。でも私は必死だった。
「そうか…」
龍司は何か言いたげな顔をしてたけど、それ以上は何も言わずソファーに腰を下ろす。そんな龍司の姿を和弥は睨む様に見つめ立ち尽くしている…
「桜井…分かってるよな?真央は俺の婚約者だ…俺の妻になる女だ。こんな時間まで居座るなんて常識ないだろ?わきまえて欲しいな」
冷ややかな龍司の言葉が私の胸に突き刺さった。