愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
「アンタ、まだ分かんないの?ホント…頭悪いねぇ…」
腕を組んだ麗子がジリジリと迫って来る。
「アンタが和弥にちょっかい出すのやめないなら、教科書やジャージだけじゃ済まなくなるよ!!」
低い声で怒鳴ると、私の胸ぐらを掴み血走った眼で睨みつけてくる。
「やめて…れい…こ」
「はぁ~?やめて?どの口が言ってんのさ!!」
興奮した麗子の右手が私の髪を鷲掴みにし、そのまま体を引きずられる。堪らず前屈みになると背中に鈍い痛みを感じ、膝から崩れ落ちていく。
「ゲホッ…い、痛い…」
私の体は雨上がりのぬかるんだ地面に転がり、泥水の中に顔が沈む。
そして、倒れ込んだ私の手の甲を麗子の靴が容赦なく踏みつけ、彼女の靴が動くたび私の手は泥にまみれ激痛が走った。
「いやぁ…お願い…やめて」
見上げた麗子の顔が涙で霞んでいく…
その時だった…
「麗子!!何やってる!!」
怒鳴り声と共に、麗子の体がよろめいた。
「桜井…君」
「北沢、大丈夫か?」
麗子を突き飛ばした桜井君が駆け寄って来て、泥だらけになった私を抱き上げてくれた。
「ううっ…桜井君…」
桜井君の顔を見た瞬間、涙が零れ落ち全身がガクガクと震え出す。
そんな私を安心させようとしてくれたのか…
桜井君は何度も髪を撫で、顔に付いた泥を優しく拭ってくれる。
でも、そんな穏やかな彼の顔が麗子に向けられた瞬間、桜井君の表情は一変し、鬼の形相に変わったんだ…