愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
「そう…なんだ…」
一瞬だけ見せた私の落胆の表情を龍司は見逃さなかったのか…
「俺が居ない間に桜井と会うつもりだったのか?」疑惑の眼で私の顔をジッと見つめてる。
「何言ってるの?冗談はやめて…」
「冗談か…」
意味有りげな笑顔を私に向け、クククッと笑う。
「別に無理やり連れて行くんじゃない。桜井と一緒なのは九州から戻る時だけだ…アイツは休暇を取って俺より一足早く実家に帰るんだ」
「実家に?」
「あぁ、桜井の母親が話しがあるから一度帰って来てほしいって言ってきたそうだよ…」
話しって…なんだろう…嫌な予感がする。まさか、妹さんかお父さんの具合が悪くなったとか…
「そろそろ向こうに帰って来てくれって話しかもな…桜井の事がそんなに心配か?」
龍司の疑いは、まだ消えた訳じゃない。私のほんの少しの動揺や眼の動き、声のトーンを冷静に観察してるみたいだった…
「桜井と色々話したい事もあるし、九州から帰ってくる新幹線の中なら、たっぷり時間があるから丁度いいな…」
独り言の様に龍司がそう言った直後、部屋のチャイムが鳴った。和弥が龍司を迎えに来た合図。
でもこれはマンションの玄関からのもの。以前は部屋まで迎えに来てたのに…龍司は徹底して私を和弥から遠ざけようとしている。
「今日も、ここに泊まるから…」
龍司はそう言うと玄関を出て行った。