愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
「桜井…」
和弥の手が龍司の背中に届く寸前だった…
「もういい…お前は帰れ…」
重苦しい空気が私達3人を呑み込んでいく…
「俺が、お前を必要ないと言う前に、帰れ…」
怒りに満ちた和弥の顔が苦悩の表情に変わり、硬く握り締められた拳が力なくダラリと落ちた。
龍司…やっぱり、ワザとだったの?こんな事して和弥を試したの?
「今なら、何もなかった事にしてやる…全て水に流してやってもいい」
龍司が私を放し、和弥の方を向く。
「桜井…冷静になって考えてみろ!お前が真央を幸せに出来るとは到底、思えない。こんな事は言いたくないが、病気の家族を抱えてるお前がどうやって真央に十分な暮らしをさせてやれるんだ?苦労させるのを分かっていて真央を欲しがるのは勝手過ぎないか?」
「龍司…もう、やめて…」
「真央もそうだ…約束された何不自由ない未来を一時の感情で捨てるつもりなのか?君は、もっと利口な女だと思っていたよ…」
龍司は勘違いしてる…
私と和弥は、そんな浅い関係じゃない。もっと深い所で結ばれてるのに…
俯いた和弥の眼が潤んでいるみたいだった…
「大人になれ!桜井」
ビクッと体を震わせた和弥が顔を上げ、なんとも言えない切なそうな眼で私を見た。そして何も言わず、ゆっくり玄関に向かって歩き出す。
イ…ヤ…和弥…行かないで…私を一人にしないで…置いていかないで…
「か…ず…」
「真央!!」
「イヤ―――っ…」
暴れる私の体を龍司の腕がソファーに押し付ける。
こんなの…イヤだ…和弥…戻って来て…
戻って私を龍司から奪って…
和弥…