愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
「桜井君…いつから私の事"真央"って呼んでた?」
私の問いかけに、彼はキョトンとした顔をして首を傾げた。
「だよな…俺、真央って呼んでるよな…全然、意識してなかった。
でも…北沢なんて呼んでたから、なんか中途半端で、麗子に俺達が付き合ってるって事、疑われたのかもだし…
これからは、真央にするから真央も俺の事、和弥って呼べよ」
「えっ…そんなの無理だよ」
「なんで?」
「だって、皆の前で…呼べない」
そうだよ。そんなの絶対、無理!!
桜井君に話し掛ける事も出来ないのに…呼び捨てなんて…
困惑してる私に構わず「ダメだ!!和弥って呼ばなかったら、返事しねぇからな!!」なんて、イジワルな事を言う。
「えぇーー!!」
「大丈夫さ。すぐ慣れるよ」
そう言うと、私の手を握ったまま自分の口元に持っていき、何度も息を吹きかけ優しく擦ってくれた。
白く靄の様に広がった温かい彼の息が私の冷たくなった手を包んでいく…
「あ…温かい…」
彼の優しさが嬉しくて、ギュッと手を握り返すと、桜井君が何か言いたげに私を見つめる。
「何…?」
「んっ?あぁ…真央の言う通りだな…って思ってさ…俺、チョコくれた娘達の事、軽く考えてた。好きじゃねぇし、どうでもいいって…」
「桜井君…」
「仕方ねぇな。あのチョコ、全部食うよ。1年くらいあったら完食できるだろ」
「あの…怒ってない?」
「怒る?なんで怒るんだよ?でも…やっぱ、真央は優しいな。俺の思ってた通りだ」
「わ、私、優しくなんか…」
そんな潤んだ瞳で見つめられたら、どんなリアクションとっていいのか分からない…
体が一気に熱を帯びる。
「俺、ずっと見てたんだよ。真央は目立たないけど、人の嫌がる事なんでも引き受けて、必要以上に周りに気を使って…
他のヤツが見て無くても、俺は見てたから…」
「うそ…」
「だから、真央の事…好きになった」