愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
「駅の周りも随分変わったなぁ~…あぁ!!あそこ、前はパチンコ屋さんだったのにディスカウントストアーになってる」
キョロキョロしながら歩く私を見て龍司が呆れた顔をして笑う。
「真央、まるで小さな子供みたいだな」
「だって…」
「それより、真央は2日間休みでこっちに居るんだから、その間は遊んでばかりいないで、ちゃんと親孝行もするんだぞ!」
「分かってるよ…」
龍司は彼氏というより、まるで保護者みたいだ…
「じゃあ、名古屋に戻ったら電話してくれ」
「うん」
笑顔で手を振り駅の改札で龍司を見送った。でも、不思議と寂しさはなかった。それどころか、どこかホッとしてる…そう思う自分が凄くイヤ…
すぐ家に帰る気になれず、何気なくフラッとディスカウントストアーに入ってみると、意外にも多くの人でごった返していた。
わぁ…凄い人…。こんな田舎でも繁盛してるんだ…
その時、タイムサービスを告げるアナウンスが響き渡り、店内の客がザワめきだす。
『只今より、若鶏モモ肉が2枚で200円!!どうぞ皆様、精肉コーナーにお立ち寄り下さいませー』
えっ!モモ肉が2枚で200円?安い!!めっちゃ安い!!
久しぶりにお母さんの唐揚げが食べたくなってきた。というワケで、早速精肉売り場へ行ってみたんだけど…
「ゲゲッ!!」
そこは既に戦場と化していて、我先にとモモ肉を奪い合う中年女性達が死闘を繰り広げていた。恐るべし主婦パワー…
モモ肉に群がるおばさん達の中にはとても入って行けず、後ろでウロウロしている事、数分。やっと人が少なくなってきた。
あっ!!1パックだけ残ってるぅー!!
手を伸ばし、その最後のモモ肉を掴んだ。と思ったら…横から出てきた大きな手に奪い取られてしまった。
「ちょっと!それ、私の…モモ…に…く…」
「はあ?そんなの誰が決めた?」
えっ…この声…まさか…