愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
「…もしかして…真央か?」
「うそ…俊?」
「やっぱり、真央じゃねぇか!!お前、帰って来てたのか?」
「うぐっ…」
買い物客でごった返す精肉売り場の前で、俊は私を思いっきり抱き締めスリスリと頬擦りしてくる。
「ヤダ、俊…苦しい…」
見れば私達の周りから人の姿が消え、遠巻きに足を止めた人々が怪しげな視線をこちらに向けているではないか…
わわっ…恥ずかしい…
「分かったから~離して…お願い」
「帰って来たなら俺に一番に報告しろよ!冷たいヤツだなぁー」
やっと俊の熱い抱擁から開放されると、私は俊の腕を掴み逃げる様にレジへと走り出す。
「俊、とにかく出よ!!」
店の外に出ると、俊はまた私の肩に手をまわしてくる。
「もう、なんで俊がこんな所に居るの?スーパーに俊って、全然似合わない」
「そうか?店の仕込みでよく来るんだぞ」
「えっ…じゃあ、スナックまだ手伝ってるの?」
「まあな。俺目当てで来る客が多くてさ~辞められねぇんだよ」
白い歯を見せ自慢げに笑う俊もまた、笑顔が似合う凛々しい素敵な男性になっていた。
「で、このモモ肉欲しかったのか?」
「うん。唐揚げ食べたかったから…」
名残惜しそうに俊の下げてるエコバックを見つめる私の手を彼が引っ張る。
「よし!今から店へ来い!唐揚げ食わしてやっから」
「えっ、ちょっと…俊」
俊は私をダークグレーのミニバンに押し込むと、車を急発進させた。