愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】

「アイちゃん!懐かしいヤツ連れて来たよ!」


俊が嬉しそうに大声で叫びながらスナックの扉を開けた。


「まぁ、真央ちゃんじゃない!久しぶりねー」

「はい、ご無沙汰してます」


昔とちっとも変らないアイさんにペコリと頭を下げ、カウンターの丸椅子に腰を下ろすと、なんだか凄く懐かしくて胸がキュンとした。


俊が唐揚げを作ってくれている間、アイさんと昔話しに花が咲く。


「へぇ~あの真央ちゃんがねぇ~銀行に勤めてるの?凄いじゃない」

「いえ、地方銀行ですから…」


暫くすると香ばしい匂いが漂い俊がお皿に山盛りの唐揚げを持って現れた。


「うわぁー!!美味しそう!」

「俺が作ったんだ。ウマいに決まってる。食えよ」

「うん」


一口ほおばると熱々の肉汁が口一杯に広がり、思わず頬が緩む。


「美味しい!!」

「だろ!!」

「でも、まさか俊の作った料理が食べれるなんて思ってもなかった」


少し照れくさそうに笑う俊。そんな俊を微笑みながら眺めていたアイさんだったが、急に立ち上がり「私、ちょっと出てきていい?」と長財布を持ちカウンターを出て行く。


「あぁ」

「じゃあ真央ちゃん、ゆっくりしてってね」


アイさんが店の扉を閉め居なくなると、俊が頭をポリポリ掻きながら「アイちゃん、気ぃ使ってくれたみたいだな…」って、苦笑いを浮かべてる。


「そんな感じだね…あっ!!そうだ!!俊ってば、私の事、騙してたでしょ!!」


突然怒鳴り声を上げた私に驚いたのか、俊の手から唐揚げがポトリと落ちた。


「な、なんだよ…いきなり…」


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