愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】

「俊…」

「どうなんだよ?真央!」


俊が怒るのも無理はない。私が和弥を忘れられなかったから、私と俊は別れたんだもんね…でも、どうする事も出来なかった…


俊に詫びるつもりで、私は正直に全てを話した。和弥の家族の話しも…麗子と再会した事も…でも、和弥の彼女が沙紀だという事は、どうしても言えなかった。


「麗子にも会ったのか…」

「うん。麗子はね、私と和弥の事を心配してくれて、力になるって言ってくれたんだよ…」

「へぇ~…あの麗子がなぁ…」


確かに意外だよね。あの麗子だもん…


「それで…和弥が仕方なく付き合ったっていう彼女…まさか、木村じゃないだろうな…?」

「えっ…」


私の手からジンジャーエールが入ったグラスが滑り落ちそうになった。


「木村…なのか?」

「どうして分かったの?」


ハァーッと、ため息をついた俊が頭を抱える。


「俺のせいだ…」

「何?誰のせい?」


俊は私の質問には答えず、暫くカウンターに突っ伏していた。そして、やっと顔を上げたと思ったら「真央、麗子の連絡先教えてくれ…」力無い声でそう言ったんだ。


「でも…」


勝手に教えたら麗子怒るかも…けど、どうして麗子なの?


「頼む。真央…頼むよ」

「話して?俊は沙紀の何を知ってるの?それに、麗子に何を言うつもり?」

「それは…ちゃんと確かめた後にしてくれ…想像で話したくない。頼む…」


納得した訳じゃなかった。ホントは俊を問い詰めて全て聞きたかった。けど…俊があの時と同じ眼をしてから…別れ話しをした時と同じ眼を…


こんな辛そうな俊の顔を見てしまったら…何も言えないよ。


「じゃあ、真実が分かったら話してくれる?」

「あぁ…約束する」


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