愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】

食事会が終わりに近づくにつれ場の雰囲気も大分和んできた。お酒も進み龍司のお義父さんが私のお父さんにお酌しながら話し掛けてる。


「今日は、このホテルの部屋を取らせて頂いてますから、どうぞゆっくり寛いでいって下さい」

「お世話掛けます…何から何まで新川さんにお任せしてしまい申し訳ありませんでした…」

「いえいえ。わざわざこちらまでご足労願ったのですから…どうぞお気使いなく。付き合いの有るホテルなもので使わない訳にはいかなくて…」


そう、結婚式を挙げる式場での披露宴は身内と近親者のみ、仕事関係や財界政界の方を招いて改めて行われる披露宴はこのホテルで行われる。


でも、披露宴とは名ばかりで、正確には高岡商事の後継者の龍司を世間にお披露目するセレモニーの様なモノだ…


「では、そろそろ…」


お義父さんの言葉で宴はお開きとなった。


「真央、俺、今から仕事なんだ…後は任せていいかな?」

「うん。私達の事はいいからお仕事頑張ってね」


仕事に戻る龍司を見送りにホテルを出て車寄せまで来ると、一台の車が私達の前で静かに止まった。


龍司を迎えに来た社用車…運転席から降りてきたのは…あの別れ以来、久しぶりに会う和弥だった。


素早く後部座席のドアを開け龍司が乗り込むと慎重にドアを閉め頭を下げてる。


その時、和弥の視線が私に向けられ彼の唇が声無く動いた。


えっ…何?


私はその動きを瞬きするのも忘れ必死で見つめる。


 ま・お・き・れ・い・だ 


―――真央、綺麗だ…―――


あぁ…和弥…


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