愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】

「麗子…どうしてそんな事聞くの?」

「真央の本当の気持ち確かめておきたいの」


そんなの確かめた所でどうにかなる話しでもないのに…


「確かめてどうするの?和弥はもう沙紀と結婚するって決めてる。私がどんなに彼を好きでもどうにもならない」

「やっぱりね…真央はまだ和弥が好きなんだ…」

「…好きだよ…今でも和弥が好き…でもね、誤解しないで。私は龍司と結婚する事に決めたの。龍司の妻になって新川真央になるの…」


沙紀が和弥と別れるとは思えない。それに、もう龍司とは結納を済ませたんだ。引き返す事なんて出来ない。


「そう…分かった」


麗子は口を真一文字に結び大きく頷いていた。そして、私の手を取り「真央、幸せにならなくちゃね…」と微笑んだ。


その笑顔を見て、なんだろう…あの時と同じ気持ちになったんだ…地元に帰って俊と話した時と同じ後味の悪いスッキリしない感じ…


麗子と別れ式場を出ると待たせてあったタクシーに乗り込む。タクシーが走り出したと思ったら携帯が鳴った。


えっ!お父さん?どうしたんだろう…お父さんからなんて初めてだ。


「はい、お父さん?何かあった?」

『真央…えらい事だぞ…』


声だけでお父さんが慌ててるって事はすぐに分かった。


「何?」

『結納金だよ!龍司君からの結納金…2千万だった…』

「にせん…まん?」

『あぁ、こんな大金…ありえないぞ。嫁入り道具は一切用意しないでいいって言ってたのに、2千万も貰って…』

「そうなんだ…」

『バカ!そうなんだじゃないぞ!この結婚、何があっても断れないぞ!』

「断らないよ…でも、どうして?」

『女の方から破談にしたら結納金は倍返しだ!そんな大金、家には無いからな!いいな、絶対断るなよ!』


それだけ言うとお父さんは一方的に携帯を切ってしまった。


倍返しって…4千万…って事?

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