愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
その夜、龍司にそれとなく結納金のことを聞いてみた。
「ねぇ、結納金…凄い金額だって、お父さんがビビってたよ…」
「ん?そうか?大切な一人娘を貰うんだ。そのくらい当たり前だろ?」
龍司にとって2千万なんて大した金額じゃないんだ…なんとなくそんな気はしてたけど…
「それより、披露宴に招待する人のリストそろそろ書いといてくれよ。招待状の準備もしないといけないし…」
「うん…」
招待状か…もう結婚までのカウントダウンが始まってる。
「それと…真央は、いつまで仕事するんだ?」
「仕事?仕事は結婚しても続けようって思ってるんだけど…」
すると龍司はポカンとした顔をして笑い出す。
「おいおい、何言ってるんだ?結婚したら家庭に入ってもらわないと…色んな人との付き合いもあるし、真央に働いてもらわなくてもお金には不自由させないよ」
龍司…私が働きたいのは、そういう理由じゃないのに…
「私、お金とか欲しくて仕事したいんじゃないよ。今の仕事…好きだから…」
「好きでも仕方ないだろ?女性は結婚したら家庭を守るのが仕事だ。とにかく仕事は辞めるんだ。いいね」
酷い…あんまりだよ。あなたがそんな考えだったなんて知らなかった。私にだって、結婚してもやりたい事はある。どうして勝手に何もかも決めちゃうの?
思い起こせば全てそうだった。
龍司の実家に初めて挨拶に行った時も、結婚式の式場選びも、4月に結婚式を挙げるって事も、全部相談なんてなかった。事後報告のみ。私の意見なんて全然聞いてくれない…
結婚したら、掃除して洗濯して食事を作って…あなたの帰りを待つだけの女になれって事なの?
そんなの…寂し過ぎる…