愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】

「腹が減ったな。そろそろ夕食の支度を頼む」


私の気持ちなんて、ちっとも分かってない。そんな龍司にイラッとした。


「…ごめんなさい。ちょっと頭が痛いの…先に休ませてもらってもいい?」

「あ…そうか…じゃあ、デリバリーで何か頼むよ。休みなさい」

「有難う…」


頭が痛いなんて嘘。これは龍司に対する私の小さな抵抗。寝室に入るとベットに倒れ込み虚ろな目で天井を見上げた。


こんな調子で、私は本当に"幸せ"になれるのかな…?


沙紀が羨ましい…和弥の側に居る沙紀が、この世の誰より羨ましい…





―――次の日の夕方


口数の少ない私を心配してくれたのか、龍司が久しぶりに外で夕食を食べようと言い出した。


「この前、クライアントと会食した雰囲気のいいレストランがあるんだ」


連れられた店は大通りから少し外れた静かな路地にあった。


「いい感じだろ?」


微笑む龍司に私はコクリと頷き店に入る。こんな目立たない場所にある店なのに、意外とお客さんが多くてほぼ満席状態。


「ご予約のないお客様は、少々お待ち頂く事になりますが…」


店員の言葉に龍司が残念そうに眉を下げる。


「そうか…予約すれば良かったな…真央、すまない。違う店にするか?」


龍司にしては珍しいミス


「うぅん。時間あるし待ってようよ」

「そうか…」


入り口近くの椅子に座って雑誌を手に取りパラパラと捲りながら席が空くのを待っていると、入り口のドアが開き2人連れの男女が入って来たのが視界の片隅にぼんやり映った。


「すみません、予約した桜井ですが…」


その声と名前に私は大きく反応し、慌てて顔を上げる…


和弥…?


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