愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
その日以来、今まで2人の時はほとんど口にしなかった"桜井"の名を龍司の口から度々、聞く様になった。つまりそれは、龍司の中で私と和弥への不信感が消えたというサインだったのかもしれない。
でも、私にとって和弥の名前を聞く事は、苦痛でしかなかったんだ…
今日は2月3日―――
私の22歳の誕生日
「仕事が終わったらホテルで食事しよう。去年行ったあのホテルだ…覚えてるか?」
「もちろん覚えてるよ。龍司にプロポーズされた場所じゃない。忘れる訳ないでしょ」
「そうか」
嬉しそうに龍司が私の頭を撫でる。
「あぁ、それと…桜井の転勤が正式に決まったよ…今月中に移動する」
「…そう」
「アイツが居なくなると俺も忙しくなるよ。桜井に任せていた仕事は沢山あったからな…桜井の代わりになるヤツを早く探さないと…」
「そうだね…」
和弥が居なくなる…
とうとうその時が来たんだと思うと、無性に寂しくなる。
でも、もうどうしようもない事。納得して別れたんだ。私に出来る事は感謝の気持ちを込めて、心の底から和弥の幸せを祈る事だけ。
悲しくないと言えば嘘になるけど、今度は前とは違うから…ちゃんと理由も行く先も分かってる。だから笑顔であなたを見送る事が出来る…はず。
それでも、やっぱり最後にもう一度、和弥に会いたいと思った。
会って直接、本当のさよならを言いたい…