愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
「あ…はい」
不思議に思いながら頷くと、彼女は携帯で誰かと話し出す。
「…じゃあ、宜しく」
携帯を切った三浦さんは「少しお待ち頂けますか?」そう言ってニッコリ笑った。
変な人…何がしたいんだろう…
それから待つ事数分。訳が分からず痺れを切らした私が三浦さんに声を掛けようとした時、エレベーターが到着した音が聞こえてきた。
反射的に振り返った私の眼に映ったのは…
「うそ…」
「桜井君に会いたかったんじゃないですか?」
「三浦さん…」
俯きながら和弥がこちらに向かって歩いてくる。すると三浦さんが腕時計を見ながら独り言みたいに呟いた。
「部長の会議は、そうね…後1時間はかかるはず…外出しても分からない」
それって…
「そうでしょ?桜井君」
三浦さんが私と和弥の顔を交互に見てニヤッと笑った。
「あの…いったい、これは…」
「ごめんなさい。差し出がましい事をして。私、北沢様のお気持ち分かってるつもりです。そして、桜井君の気持ちも…どうか2人で納得出来るまで話して下さい。後悔しないように…」
一度しか会った事のない私の気持ちが分かるなんて…なんて人なの…
私、彼女の事誤解してた。偉そうで気取ったイヤな女性だと思ってたけど、ホントは人の気持ちが分かる優しい人なんだ…
「三浦さん、有難う御座います」
彼女に頭を下げ感謝の気持ちを伝えると、隣の和弥に眼をやった。
「…話せるかな?」
「あぁ」
「じゃあ、私はこれで…」
エレベーターに向かって歩き出した三浦さんに、私はもう一度、深々と頭を下げた。