愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
ビルを出た私達は近くのカフェに入り、一番奥の目立たないテーブルを選び向かい合って座った。
「三浦さんって、凄い人だね…」
「そりゃそうさ…なんたって秘書課の主任だからな。人の気持ちを読んで行動するのが彼女の仕事だ」
「鈍感の私には、絶対無理だな…」
「…だな!」
「もう!!和弥ったらーひどーい!!」
頬をプーっと膨らませスネる私を見て和弥が笑う。その笑顔につられ私も笑う。久しぶりに、本当に久しぶりに私達は笑った。
「またこうやって真央と会えるとは思わなかった…」
「うん。私も、和弥に会えるなんて思ってなかったよ」
「…この前は悪かった。沙紀が部長の前であんな事言って…」
「あ…うぅん。気にしてないから…沙紀はどうしてるの?こっちに居るの?」
「沙紀のヤツ、俺とこっちに来る時、大学に休学届出してきたみたいで…だから、ずっとこっちに居るよ。知り合いも居ないし、する事ないから九州へ帰れって言っても聞かなくてさ…それでも最近は友達が出来たみたいで、よく出掛けてるみたいだけどな」
「そうなんだ…」
ずっと、和弥と一緒に…
なんとも言えない胸の痛みを感じた。この期に及んで、まだ私は沙紀に嫉妬してる。
「最後に真央と話しが出来て良かったよ…」
和弥の"最後"という言葉に、再び胸がズキンと痛む。
「いつ…九州に行くの?」
「2月14日」
「2月…14日?」
写真撮影の日だ…