愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】
玄関を入ると、ホールにあるソファーに座っている麗子を見つけ手を振る。
「遅くなってごめんね。麗子」
息を切らし顔の前で手を合わせる私の顔を麗子がマジマジと見つめボソッと言った。
「真央…1人?」
「あ…龍司は少し遅れるの。でも、ちゃんと来るから…」
「そうじゃなくて…」
「んっ?じゃあ、何?」
「う、うぅん…新川さん、来るって言ったんだ…」
「えっ?来るに決まってるじゃない。今日は写真撮影の日だよ?おかしなこと言うね、麗子」
「そうだけど…」
「先にメイクでしょ?」
「う、うん…」
全く…龍司といい、麗子といい、どうかしてるよ。
麗子に案内され花嫁専用の控え室に入り早速メイクが始まる。でも、さすがプロだな。私が普段してるメイクとは全然違う。自分でも驚くほど可愛く仕上げてもらえて大満足。
そして、純白のウエディングドレス
肩から胸元にかけ大胆にカットされたデザインは龍司のリクエスト。実はこのデザイン私は最後まで抵抗した。だって、余りにも大人っぽくて私には似合わないと思ったから…
でも、こうやってちゃんとメイクしてドレスを身に着けると、結構いいかも…なんて思ってしまう。
大きな姿見に全身を映しはしゃぐ私を鏡に映った麗子の顔が不安げに見つめているのに気付づいた。
「麗子?」
「あ…真央、凄く綺麗だよ」
取って付けたみたいな言い方。全然気持ちが入ってない…
「ねぇ、麗子…どうしたの?さっきから変だよ。何かあった?」
あまりにも不自然な麗子の態度に我慢出来なくなり問い詰めると…
「真央、新川さんから何も聞いてないの?」なんて言うから余計、ワケが分からなくなる。
「龍司に…?なんの事?意味分かんないよ」
「そっか…やっぱダメだったのかな…」
そう言った麗子がうな垂れため息をついた時だった…
バタン!!
控え室のドアがノックもなしに勢いよく開いた。