愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】

反射的に抱きとめた俺の手に氷の様に冷え切った真央の冷たい背中が触れる。


「こんな真冬に、なんて格好してるんだよ。凍えちまうだろ!」


俺は自分が着ていたダウンジャケットを真央に羽織らせ再び抱き寄せる。


「いいの…和弥に暖めてもらうもん」


甘えた声が堪らなく愛おしい…


ほのかに香る真央のあの香りが俺の男の核心を刺激する。このまま真央を離したくない…


でも、ダメだ…


必死で平静を装い心中の動揺を取り繕いながら俺は彼女をつき放した。


「こんなとこに来てる場合じゃないだろ？今すぐ部長の所へ帰れ」

「もういいの…」

「何がいいんだ？部長にバレる前に帰れ!!」


だが、再び俺の体に腕をまわした真央が顔を上げ、瞳を揺らし言う。


「龍司とは、別れた…」

「えっ…」


まさか…そんなはずはない。今の真央の言葉は俺の願望が彼女に言わせた幻聴…幻…


「今、なんて…言った？」

「龍司と別れたの。だからこれからは、ずっと和弥と一緒に居れる」

「うそ…だろ？」


幻聴じゃなかったのか…？


すると、すぐ後ろから聞き覚えのある声がして、俺の心臓がドクリと跳ねた。


「…桜井」


部長…


俺は焦って真央の肩を押しのけようとするが、真央は俺から離れようとはしない。


「真央、部長が見てるぞ。離れろよ…」


真央の耳元で小声で諭すが「ヤダ!」そう言って、駄々っ子の様に首を振る真央。離れるどころか一層、強く俺の腰に手を絡めてくる。


参ったな…